クロアナバチについて

地中に巣を作るクロアナバチは、おとなしい性格で、攻撃性や危険性の低い蜂です。よほどの事をしない限り人には危害を加えません。ただし飛ぶときの羽音が大きくて黒くて大きい蜂が地面から出てくると、怖いと思ってしまう人も多いです。この記事ではクロアナバチの見分け方やその生態について説明をします。

クロアナバチとは

蜂駆除

クロアナバチの見分け方

クロアナバチは攻撃性も毒性も低く住居の近くで発見しても影響は大きくはありません。しかしクロアナバチだと思って対処しないで放置していたら、それ以外の危険な蜂であったという場合もあり得ます。
クロアナバチは地面に穴を掘って巣を作りますが、同じように地面に巣を作ったり土や泥で巣を作ったりする蜂の種類は多く、庭のある家庭や畑仕事をしている時に見間違えてしまうことがあります。色が黒くて地中に巣を作るクロスズメバチ、地中に巣を作るオオスズメバチ、泥で巣を作る色が黒いドロバチについて紹介します。

クロスズメバチはスズメバチの中では小型で体長が15 mm ほどです。名前の通り黒い体に白い模様が入っており、攻撃性は低く、不用意に刺激しなければ襲ってくることはありません。クロアナバチと同じように、土の中に巣を作ります。
クロスズメバチはおとなしい性格ではありますが、土の中に巣を作っているので、登山やバーベキューなどで山に入った時に、知らず知らずのうちに巣を荒らしてしまい、クロスズメバチが巣を守るために攻撃してくるといったことが起こります。クロスズメバチが威嚇してきたら、慌てずに静かにその場を立ち去りましょう。

オオスズメバチは最も凶暴で強力な毒を持ちます。土の中に巣を作るためクロアナバチと見間違えないように注意が必要です。黄色と黒の縞模様をした大型の蜂であれば、オオスズメバチであることを疑いましょう。
特に秋口は大量のオスバチと新女王バチを育てなければならない一方で、餌になる昆虫類が少なくなるため、攻撃性が非常に高くなります。オオスズメバチの巣に近寄った場合は、働き蜂が2、3匹、顎をカチカチと言わせながらまとわりつくように飛び始めます。これは威嚇をしているのであり、この段階では刺すことはありませんので、近くにオオスズメバチの巣があるサインだと認識し、静かに後ずさりしてその場を離れましょう。

ドロバチは軒下やベランダなど人間の生活に身近な場所に泥を使って巣を作ります。毒性も攻撃性もあまり高くありませんが、色が黒く人間の生活に隣接した場所に巣を作ります。
見た目は黒をベースとしており、腹部に黄色の2本の線が入っています。ドロバチは日本全国に分布しており、比較的よく見かける蜂です。他の多くの種類の蜂は社会性で、集団生活をするのに対し、ドロバチは単独で生活をしています。一般的に蜂が危険な昆虫だと言われるのは、この社会性に由来しており、巣や自分たちの集団を守るために、役割分担をした蜂が警戒や攻撃という行動をとってくるためです。しかしドロバチは単独行動であるため、基本的に餌を捕まえるためにある針や毒を、人間のような大きな動物の攻撃のためには使いません。巣そのものや個体そのものに積極的な攻撃を加えた場合は別ですが、近くに寄ったという程度では攻撃をしてくることはありません。

クロアナバチの特徴

クロアナバチの体長は約25 mm ほどで、他の蜂は黄色が主体となっていることが多いのですが、クロアナバチは全身が黒く、外見は蜂というよりもアリに似ています。
クロアナバチはアナバチの仲間で、日本や南西諸島、台湾、フィリピンなどに分布しており、日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。
8月から10月頃に、庭の地面近くを黒い虫が低空飛行しているのを見かけたら、クロアナバチかもしれません。地面にいるときは普通の昆虫のように見え、地面に横並びに三つの穴のあいている巣を作ります。

クロアナバチの生態

クロアナバチは、地面に穴を掘り、獲物である蛾の幼虫やツユムシやウマオイやクダマキモドキなどの大型バッタなどを隠して埋める習性を持ちます。クロアナバチは、仕留める昆虫に麻酔効果のある針を刺して仮死状態にし、その大きな昆虫を巣穴に押し込んで卵を産み付けます。その昆虫が孵化した幼虫の餌になります。なお、クロアナバチの成虫は、花の蜜を吸って生活しています。
クロアナバチが幼虫の餌とする蛾の幼虫やバッタなどは、畑を荒らす害虫とされているので、これらを狩ってくれるクロアナバチは益虫と言われています。

クロアナバチの攻撃性

クロアナバチは危険性が低く毒も弱いです。毒は持っていますが餌の虫を麻痺させるために使うので、人間にとっての有害性は低く、手で強く握ったりしない限り刺すことはありません。
また、クロアナバチは集団で活動する社会性の蜂ではなく単独で行動をするため、フェロモンを出して他の蜂をおびき寄せるということもありません。

ただし人間の活動範囲で、地面近くを大きな羽音をさせて飛んでいるので、危険性の低い蜂であると知らなければ、人間のほうが怖がってしまって払いのけようとして、結果的にクロアナバチに対する攻撃になってしまい、反撃して襲ってくるという可能性がないわけではありません。毒性は低いですが、一度蜂に刺されたことのある人にとっては、アナフィキラシーショックを誘発することも考えられます。

クロアナバチの巣の特徴

クロアナバチは家の庭やコンクリートの壁などに巣を作ります。まれに屋根裏などの室内に営巣することもあります。三つ穴が並んだ巣が特徴で、本物は真ん中の穴で両隣はダミーです。穴を掘るのが得意な蜂なので、巣を壊してもすぐに作り直されてしまいます。

クロアナバチの駆除

蜂駆除

クロアナバチは危険性が少なくおとなしい蜂で、益虫でもあり、産卵が終わればどこかに飛んで行ってしまいますので、駆除するよりも放置して共存する方が良いと言えます。しかし黒くて大きく地面に穴を掘って生活をしているクロアナバチは、おとなしいということを知らなければ非常に強く見えますので、生態を知らない人に駆除を頼まれるなど、駆除をしなければいけないこともあるかもしれません。

クロアナバチは日当たりが良くて水はけのよい場所に巣を作ります。このような場所は限られているため同じ場所に繰り返し巣を作ろうとします。集団行動はしませんが、同じ条件の土地ならば他のクロアナバチにとっても魅力的な場所なので、周囲にたくさんいるということになります。
見かけると潰して回るのを繰り返すと、クロアナバチがここは巣を作るのに適さない場所だというように考えて寄り付かなくなるとも言われていますが、あまり効果がないという報告もあります。穴を掘るのが得意な蜂ですので、巣穴を踏み潰したぐらいではまた作り直してしまうからだと思われます。

クロアナバチは昼行性の蜂ですので、朝方や夜は巣に帰っています。殺虫剤を使う場合は、クロアナバチに直接殺虫剤を散布するのではなく、蜂の活動が落ち着く日暮れ以降や夜に、巣穴とその周辺に殺虫剤をかけます。しかしクロアナバチは社会性のハチではないため、巣にたくさんの蜂が住んでいるというわけではありません。したがって少しの数の巣をこうやって潰しても、元々がクロアナバチにとって住みやすい場所であるのだから、他のクロアナバチが繰り返し同じ場所に巣を作ろうとします。
巣作りの始まる前の4月から5月頃に予防として蜂用の殺虫剤をまいておくと、多少の効果があると言われています。この方法はクモやカメムシやアブにも効果があるのでまとめて予防ができます。